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習作「つぼみ」

「たとえばね、このつぼみが春になって開くのか開かないのか、それをひたすら議論するようなものなんだよ」
 君は雑草生い茂る地面にかがんで、体毛の生えそろっていないしわしわの赤ん坊みたいな植物のつぼみをなでながらそう言う。
「このつぼみが開くかどうか、確かめる方法は二つある。一つは、春まで待つこと。結果を見れば、結論は一目瞭然。当たり前だよね」
「もう一つは?」
「もう一つは」
 君はつぼみの茎をやさしくつかんで、一気に引き抜いた。
「ほら、これでもうこのつぼみは開かない。簡単でしょ?」
「なるほど、簡単だ」
 僕は半分ほどになった煙草を足元に落とし、靴の底で踏み消す。消えきらなかった炎が燻って、白い煙を未練たらしく垂れ流す。
「なぜ生きなければいけないのかを問うのは、なぜ死ななければいけないのかを問うのと同じくらい無意味なことなんだよ」
 そして僕たちは手をつないで、崖の上から、嘘みたいに青い空と海に向かって飛び出した。

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